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耳ダニの治療

耳ダニの治療/長谷川動物病院
ミミヒゼンダニ/長谷川動物病院

 

耳ダニは、『耳疥癬(ミミカイセン)』あるいは『ミミヒゼンダニ』とも呼ばれています。

 

犬猫以外にも、ウサギ、フェレットなど色々な動物の、主に外耳道の表面に寄生して、一生を送っています。

 

人間は耳ダニに接触すると、一時的な皮膚炎を起こすことがあり、ごく稀に耳への感染が起こることもあるそうです。

 

自然に湧いて出るわけもなく、マダニのように野外の草むらにいるわけでもなく、アトピーの原因になるコナダニのように家の中に普通にいるわけでもありません。

 

もちろん網戸から家の中に勝手に入ってくるなんて、あり得ないでしょうね。

 

 

 

意外かもしれませんが、耳ダニに関しては、ブリーダーさんやペットショップ経由の子たちに多い印象です。外にいるノラちゃんよりも。

 

野良猫たちは、感染していても治療してもらえるとは限りませんからね。

 

それに、野良猫は感染させるよりも、むしろ感染させられた方でしょう。

 

 

 

一般的には、子犬、子猫の時代に親子間での感染や、成長してから感染動物との接触によって、感染します。

 

耳ダニは、自然界に普通にいるダニではありませんからね。

 

卵→幼ダニ→第1若ダニ→第2若ダニ→成ダニと脱皮を繰り返して成長するおよそ3週間と、成ダニ期間の約2ヶ月間一生を動物の体の上で過ごします

 

動物の体から離れてしまった時の耳ダニの生存期間は、最長で12日とされています。

 

耳ダニは耳道内皮膚表面のフケや分泌物を食べて生活し、卵を産んでどんどん増えてゆきます。

 

ですから治療をせずに放置すれば、自然治癒することはなく、ダニの数が増えて外耳炎や耳血腫を招くなど、どんどん悪化して行きます。

 

 

 

耳ダニが寄生している動物には、黒~茶色いカサカサした耳垢が見られますが、その耳垢の中に耳ダニやそのが混じっています。

 

診断は、耳垢の中の耳ダニや卵を顕微鏡で検出して行われます。

 

治療は、定期的な耳ダニの駆除剤の投与と同時に、耳垢の除去です。

 

耳ダニの駆除剤は、卵には効きません。←これが問題なんです。

 

卵から成ダニになり産卵するまでが、およそ3週間ですので、治療は1〜2週間ごとに行われます。

 

3週間以上の期間を置くと、また産卵されてしまう可能性があるのです。

 

 

 

ペットショップから家に来た時点では異常がなく綺麗な耳で、病院で検査をしても耳ダニが検出されなければ、耳ダニはいないという診断になりますね。

 

けれど、しばらくすると耳の中が黒くなって、激しく痒がるということが起こり得ます。

 

それは、ペットショップ(ブリーダー)で治療薬を投与後に(耳ダニに関する十分な説明がなく)販売された場合です。

 

完全にいなくなるまで治療を継続しないと、耳ダニはすぐに再増殖してしまうのです。

 

 

耳ダニの感染動物は、痒がって耳を振った時に耳垢をあちこちに飛ばし、お家の中が耳ダニに汚染されます。

 

たまたま遊びに来ていたお友達の体に耳ダニがついてしまうと、その人は耳ダニをお家に持ち帰り、飼っているペットに感染させてしまう。。なんてこともあり得ます。

 

動物をたくさん飼育しているお家では、人が持ち込んだり、なんらかの原因で1匹が感染してしまうと、たとえ直接の接触がなくても、全部の動物に感染が広まってしまうでしょう。

 

症状が見られなくても、動物全員の一斉の治療が必要となります。

 

なので、動物の数が多いと治療が大変ですし、そのため全員同時に治療ができない場合が有り得ます。

 

ブリーダーやペットショップ経由の子達に感染が多いのは、こういう理由からなのでしょう。

 

耳ダニには、一時でも避難所を用意してあげてはいけないのです。

 

 

同時に、家中の徹底した掃除が必要です。

 

使用していた布製品は、熱湯消毒または廃棄処分が推奨されます。

 

耳ダニの数を減らすことは、耳ダニ撲滅への近道だからです。

 

撒き散らかされた耳垢の中の卵が2~4日で孵化して、また動物の体に戻ることも考えられます。

 

 

1)耳垢を綺麗に取り除くこと

2)検査で検出されなくなるまで、耳ダニの駆除剤投与を繰り返すこと

3)何度も繰り返し家中の掃除(拭き掃除)を行うこと

4)感染源を特定し、再感染を防止すること

 

これらのことがきちんと行われなかったり、感染動物の数が多い時には、治療は長期化するかもしれません。

 

耳ダニの感染力はとても強いので、耳ダニが確実にいなくなるまでは、トリミングや他の動物との接触を控えましょう!

 

動物病院内では、診察台の上以外ではケージから出さないように、お願いいたします。

 

ましてや待合室で放して自由にさせるなんて!

 

感染源であることを理解してくださいね。

 

 

猫ちゃんはできるだけ家の中だけで飼っていただくことをお勧めします。

 

お散歩中でのよそのワンちゃんとの接触時には、確認をしていただくのがお勧めですが、多分無理でしょうから(笑)、やはり接触を避けていただくしかないでしょう。

 

 

耳ダニに有効な注射剤や滴下型のお薬は、投薬時の駆除効果だけで、ノミやマダニのような長期間の予防効果が期待できません。

 

お家での健康チェックで早めに見つけていただくか、感染源が特定されない子には、定期的にお薬を投薬していただいても良いと思います。

 

 

1番のオススメは病院で定期的に健康診断を受けていただくことです。

 

ワクチン接種時やフィラリア予防薬投与前の検査時など、身体中のチェックを行っていますので、耳ダニでしたら早期に発見できるでしょう。

 

異常がなければ、これらの時の診察はもちろん無料ですし♪

 

どんな病気でも早期に治療を開始すれば、治療期間は短く済むはずですからね。

 

 

 

 

動物たちの健康管理のご参考にしていただけましたら幸いです。

 

 

※時々お問い合わせをいただくのですが、診察を伴わない個々のご質問にはお答え致しかねます。申し訳ありません。