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尿石症の診断と治療

尿石症の診断と治療/長谷川動物病院
尿管結石(↓)と膀胱結石(⇩)/長谷川動物病院

 

おしっこの回数が多くなった、おしっこが濃い~赤い、トイレにずっといるのにおしっこが少ししか~全く出ていない😱、etc…

 

ワンちゃんや猫ちゃんにそんな症状が見られたら、尿路結石症(尿石症)かもしれません。

 

初期には、結石やその前段階の結晶が、尿路(腎臓~尿道)の粘膜を傷つけて、炎症や痛み、出血を引き起こします。

 

膀胱尿道の、いわゆる下部尿路を傷つけると膀胱炎の症状となり、頻回にトイレに行くようになります。

 

この段階で来院されれば、通院での治療が可能です。

 

けれど来院が遅れた場合、尿道閉塞尿管閉塞から腎不全となると、命の危険に晒されます。

 

 

診断)

問診、視診、触診によって行われ、尿が採取できれば診断は容易です。

問診ではフードの確認を行います。発症してからの経過時間も重要です。

尿道閉塞では、ペニスの先に結石が付着していたり、触診で詰まっている結石を確認できることが多いです。

そして時間の経過とともに、飼い主様でもわかるくらいに、下腹部の辺りに硬くなった膀胱が触知できるようになります。

けれど、膀胱破裂の危険性がありますので、あまり触らない方がいいでしょう。

 

 

検査)

血液検査

尿路閉塞の子では、腎臓機能を確認するために必ず行います。

また、感染や炎症の有無、その他の疾患の有無などを調べます。

中高年齢でのシュウ酸結石は、脂質代謝異常との関連が指摘されていますので、それらの確認も併せて行います。

 

尿検査

結石の種類によって治療法が異なりますので、尿pHの確認と尿結石の種類の同定は重要です。

膀胱から吸引した尿を遠心分離後、顕微鏡で底に残った沈渣に含まれる細菌や腫瘍細胞の有無、結石や結晶の形態観察を行います。

複数の結晶が観察されるときは、検査センターでの結石分析検査が推奨されます。

 

レントゲン検査

①触診で確認できない尿路(特に腎臓と尿管)の結石の有無

②腎臓の大きさや水腎症の有無

③結石の形や大きさ         などを確認するために行われます。

 

超音波検査

レントゲンに写らない結石もあるので、確認のために超音波検査が推奨されます。

膀胱や腎臓の内部の様子を確認することもできます。

 

 

治療)

結石の存在する場所や、結石の種類、重症度によって異なります。

 

軽症:通院治療

・抗菌剤、(消炎剤、止血剤)の投薬

・食事療法(療法食またはサプリメント)と食事指導

・飲水量を増やす工夫 → ミネラルウォーターは禁忌

・尿のチェック(回数、量、色、臭い、pH、出血の有無など)、排尿時の様子観察

・猫が好むトイレ環境など、飼育環境の改善指導     など。

腎結石があっても無症状のときは、食事療法と定期的な検査で経過観察を行う場合が多いです。

 

重症:入院治療

尿道閉塞の時:尿道カテーテル留置(尿量確認)、静脈点滴、対症療法

血液検査で腎機能の確認を行います。

 

 

外科手術

⚫︎大きな結石の場合は、手術での摘出が推奨されます。

⚫︎犬の尿道閉塞では、閉塞部を切開して結石を取り出した後、切開部分を皮膚ごと縫合して解放創とする場合があります。

⚫︎尿道閉塞の再発を繰り返す猫の場合は、会陰尿道ろう設置術が行われます。

この手術は、骨盤部の比較的内腔が広い部分で尿道を切断して、皮膚に縫合する手術です。尿道を広くして、尿道閉塞の予防を行うのです。

⚫︎尿管閉塞の時は、

①開腹手術で尿管を切開して石を取り除く

②開腹手術で狭くなった尿管部分を切除し、尿管を膀胱に繋ぎ合わせる

③専門医による尿管ステントを利用した手術

 けれど、細い尿管の縫合は難しく、また切開・縫合後に閉塞しやすいので、③が推奨されます。

 

 

●予後

再発率の高い病気ですので、食事療法が必須となります。

腎機能障害の後遺症が残った子は、腎臓病の治療が必要になります。

定期的な血液検査と画像検査が推奨されます。

 

 

 

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※時々お問い合わせをいただくのですが、診察を伴わない個々のご質問にはお答え致しかねます。申し訳ありません。