おしっこの回数が多くなった、おしっこが濃い~赤い、トイレにずっといるのにおしっこが少ししか~全く出ていない😱、etc…
ワンちゃんや猫ちゃんにそんな症状が見られたら、尿路結石症(尿石症)かもしれません。
初期には、結石やその前段階の結晶が、尿路(腎臓~尿道)の粘膜を傷つけて、炎症や痛み、出血を引き起こします。
膀胱や尿道の、いわゆる下部尿路を傷つけると膀胱炎の症状となり、頻回にトイレに行くようになります。
この段階で来院されれば、通院での治療が可能です。
けれど来院が遅れた場合、尿道閉塞や尿管閉塞から腎不全となると、命の危険に晒されます。
診断)
問診、視診、触診によって行われ、尿が採取できれば診断は容易です。
問診ではフードの確認を行います。発症してからの経過時間も重要です。
尿道閉塞では、ペニスの先に結石が付着していたり、触診で詰まっている結石を確認できることが多いです。
そして時間の経過とともに、飼い主様でもわかるくらいに、下腹部の辺りに硬くなった膀胱が触知できるようになります。
けれど、膀胱破裂の危険性がありますので、あまり触らない方がいいでしょう。
検査)
◆血液検査
尿路閉塞の子では、腎臓機能を確認するために必ず行います。
また、感染や炎症の有無、その他の疾患の有無などを調べます。
中高年齢でのシュウ酸結石は、脂質代謝異常との関連が指摘されていますので、それらの確認も併せて行います。
◆尿検査
結石の種類によって治療法が異なりますので、尿pHの確認と尿結石の種類の同定は重要です。
膀胱から吸引した尿を遠心分離後、顕微鏡で底に残った沈渣に含まれる細菌や腫瘍細胞の有無、結石や結晶の形態観察を行います。
複数の結晶が観察されるときは、検査センターでの結石分析検査が推奨されます。
◆レントゲン検査
①触診で確認できない尿路(特に腎臓と尿管)の結石の有無
②腎臓の大きさや水腎症の有無
③結石の形や大きさ などを確認するために行われます。
◆超音波検査
レントゲンに写らない結石もあるので、確認のために超音波検査が推奨されます。
膀胱や腎臓の内部の様子を確認することもできます。
治療)
結石の存在する場所や、結石の種類、重症度によって異なります。
●軽症:通院治療
・抗菌剤、(消炎剤、止血剤)の投薬
・食事療法(療法食またはサプリメント)と食事指導
・飲水量を増やす工夫 → ミネラルウォーターは禁忌
・尿のチェック(回数、量、色、臭い、pH、出血の有無など)、排尿時の様子観察
・猫が好むトイレ環境など、飼育環境の改善指導 など。
腎結石があっても無症状のときは、食事療法と定期的な検査で経過観察を行う場合が多いです。
●重症:入院治療
尿道閉塞の時:尿道カテーテル留置(尿量確認)、静脈点滴、対症療法
血液検査で腎機能の確認を行います。
●外科手術
⚫︎大きな結石の場合は、手術での摘出が推奨されます。
⚫︎犬の尿道閉塞では、閉塞部を切開して結石を取り出した後、切開部分を皮膚ごと縫合して解放創とする場合があります。
⚫︎尿道閉塞の再発を繰り返す猫の場合は、会陰尿道ろう設置術が行われます。
この手術は、骨盤部の比較的内腔が広い部分で尿道を切断して、皮膚に縫合する手術です。尿道を広くして、尿道閉塞の予防を行うのです。
⚫︎尿管閉塞の時は、
①開腹手術で尿管を切開して石を取り除く
②開腹手術で狭くなった尿管部分を切除し、尿管を膀胱に繋ぎ合わせる
③専門医による尿管ステントを利用した手術
けれど、細い尿管の縫合は難しく、また切開・縫合後に閉塞しやすいので、③が推奨されます。
●予後
再発率の高い病気ですので、食事療法が必須となります。
腎機能障害の後遺症が残った子は、腎臓病の治療が必要になります。
定期的な血液検査と画像検査が推奨されます。
併せてお読みください。
※時々お問い合わせをいただくのですが、診察を伴わない個々のご質問にはお答え致しかねます。申し訳ありません。