· 

猫の変形性関節症

遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。

 

今年も、私の長いお話にお付き合いいただけたらと思います。😊

 

うちのマオくんは、現在16歳。😽

 

まだ頑張れば、70センチくらいの高さのジャンプは可能です。😼

 

けれど怪我をしてほしくないので、色々なところに補助台をおいて、高いところへの移動をサポートしています。

 

眠る時間が増え、普段の動作もだんだんとお年寄りっぽくなってきました。🥲

 

そんなマオくんにも朗報です!

 

実は、3月に世界初・唯一の作用機序による変形性関節症に伴う痛みを抑える治療薬(犬用と猫用)が発売されます。

 

変形性関節症とは、隣接する骨同士が擦れ合うことを防ぐクッションの役目をする関節軟骨が、様々な理由で薄くなって起こる関節の病気です。

 

股関節に起きれば変形性股関節症、膝関節は変形性膝関節症、肘関節なら変形性肘関節症、脊椎(背骨)に起きれば変形性脊椎症 となります。

 

主に加齢による関節の慢性的な炎症や関節軟骨の擦り減りなどによって、痛みを伴う運動障害が起こります。犬も猫も人間もなります。

  

関節の骨同士が擦れて痛いので、痛くないようにゆっくりと慎重に動いたり、体重を支えられず同じ姿勢を保てなくなったり。

 

また、人間の四十肩のように関節の動きが制限されるので、歩幅が狭く、ぎこちないロボットのような歩き方になるのでしょうね。  

 

実際には、四十肩は関節包炎、変形性関節症は滑膜の炎症が主な原因とされていますが。。

 

猫の変形性関節症 / 長谷川動物病院
    関節の構造 / 第一三共ヘルスケアHPより

 

関節は、骨の両端にある関節軟骨とそれを包む関節包、その中に満たされた関節液(滑液)、関節を支える靭帯などの支持組織で構成されています。

 

関節の内面は滑膜で覆われていて、そこから分泌される滑液が、関節軟骨への栄養供給や関節面を滑らかに保つ潤滑剤の役割をしています。

 

変形性関節症は、これらの組織の破壊や機能障害によって発症します。

 

猫で起こりやすいのは、体重を支える肘関節、股関節、膝関節ですが、背骨にできて腰の辺りを痛がったり、麻痺などの神経症状(馬尾症候群)を起こす場合もあります。

 

尻尾の付け根をポンポンすると怒るニャンコは、そうなのかもしれませんね。🥲

 

また、爪が太く巻き爪になっている子も、手根関節や肘関節、膝関節などが痛くて爪が研げないのかもしれません。

 

 

先天的には、股関節形成不全症、骨軟骨異形成症、ムコ多糖症などが挙げられます。

 

猫の変形性関節症の原因は、

加齢による関節軟骨の老化

肥満による持続的な関節への負荷

遺伝的な関節の変形(スコティッシュフォールドマンチカンなどの骨軟骨異形成症など)  などです。

 

 

飼い主様が異常を感じない猫でも、12歳以上の子の90%にレントゲン検査で関節の変化(骨棘など)が確認されたという報告もあります。

 

猫は痛みの症状を上手に隠しますからね。😩

 

なので初期には気付かれることなく、加齢に伴ってゆっくりと症状が現れてくるので、『歳のせい』にされがちです。

 

けれど実際には、多くの猫ちゃんが痛みを我慢しているはずなのです。😿

 

問題となるのは関節の『痛み』なのですが、高齢の猫では慢性腎臓病の子が多いことから、長期の鎮痛剤の投与が難しいです。

 

鎮痛剤は猫への使用にあたって、胃腸障害腎機能障害などの副作用がネックとなることがあるからです。

 

さらにステロイド剤も同様に、胃腸障害やホルモン異常などの副作用の可能性があります。

 

猫は、そもそも安全に使用できる薬が限られています。その上、苦いと飲んでくれませんしね。😣

 

また歯周病に伴う口の痛みを抱えている子もいて、経口薬の投与が難しかったりもします。

 

猫の経口薬投与はハードルが高くて、苦労されている飼い主様は少なくないはずです。

 

なので、注射薬である今回のフルネベトマブの発売は、尚更朗報なのです。😻

 

ヨーロッパではすでに使用されていて、このお薬の有効性や安全性が示されています。

 

期待が大きいですね。😉

 

明らかな症状が出る前にレントゲン検査で早期診断を行い、積極的な治療によって、痛みのない穏やかなシニアライフを送ってほしいです。

 

 

症状)

●ジャンプや階段の上り下りをしなくなる

●動作がぎこちなくゆっくりになる

●横になった状態から起き上がるのに時間がかかる

●すぐ横になり、眠ってばかりであまり遊んだり動こうとしなくなる

●体が硬くなる、毛繕いができなくなる

●歩く歩幅が狭い、トボトボ歩き、びっこをひく

●関節が腫れている

●トイレなどの段差を越えられない、排泄の姿勢を保てなくなる

●体を触られるのを嫌う(痛い)   など

 

 

予防)

●肥満の予防

●適度な運動(筋力の低下防止) ※激しい運動は逆効果

●環境改善(床が滑らないように敷物を敷いたり、床の上に滑りやすい紙などを置かないなど)

●定期的な爪切りと足裏の毛のカット(長毛種)

●サプリメント投与

 

 

治療)

●対症療法(体重管理、消炎剤、鎮痛剤、サプリメント)

●ペントサンナトリウム投与(皮下注射)

●フルネベトマブ投与(皮下注射)

 

 

 

上記のような症状がある子は、決して『歳のせい』にせずに、まずはご相談くださいませ。😉

 

2月は、Team HOPE 2023 猫の健康診断キャンペーンを行います。

 

期間中は普段よりもお得に、尿検査、糞便検査、レントゲン検査、血液検査が受けられます。

 

もうすでに痛みを我慢している子も、お早めにご相談ください。

 

新しいお薬で、早く、猫ちゃんを痛みから解放してあげましょう。😃

 

 

 

以上、動物たちの健康管理のご参考にしていただけましたら幸いです。😊

  

 

※時々お問い合わせをいただくのですが、診察を伴わない個々のご質問にはお答え致しかねます。申し訳ありません。