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後医は名医?

院長ブログ/長谷川動物病院
  後医は名医? / 長谷川動物病院

 

こんにちは、院長の長谷川です。😊

 

病院に通ったけど、なかなか良くならなかったので、別の病院に転院をしたら途端に良くなった。

 

前の医者はヤブ医者で、後の医者は名医。後医は名医』なんて言われたりします。😅

 

確かに、そういう時もあるのかもしれませんが、けれど皆様、決して誤解のないように。

 

2番目の先生は最初の先生よりも、いろいろな意味で恵まれています。そもそもスタート地点が違いますよね?

 

初めの頃には、なんとなく元気がないくらいだったけれど、時間の経過とともにその病気の典型的な症状が現れてくる。そんなことはよくあります。

 

なので、最初の先生の時は症状が乏しくて分かり難く、2番目の先生の時にはその病気の症状が出そろっている、なんてことが起こり得るのです。

 

これだけでも、2番目の先生の方が断然有利でしょ?😉

 

さらに、『最初の先生のお薬は効かなかった』という有力な情報も得られますので、治療をする上でも有利です。

 

その分、最初の先生よりも検査の必要性が減りますし、より有効な治療ができるでしょう。治療費も安く済むはずです。

 

ひょっとしたら最初の先生のお薬が、転院の『タイミング』で効いてくるかもしれません。タナボタですね。😆

 

これが、『後医は名医』の真相です。😎

 

もちろん、これは飼い主様から最初の病院での検査や治療について、正しい情報を伝えていただいた場合に限られます。

 

情報がなければ、2番目の病院でも検査や治療は最初の病院と同じように行われるかもしれません。

 

 

初期の頃、なんとなく元気がないとか食欲がないだけという時は、典型的な症状が乏しいために病気の正体が分かりにくいです。

 

この頃に来院される飼い主様は、真面目で日頃から動物たちによく気を配り、本当に心配されている方々です。🥺

 

この時点で、正確な診断を目指すならば、いろいろな検査が必要になります。動物は話してくれませんので尚更です。

 

けれどいろいろな検査をしても、初期の頃には症状が乏しい分、検査結果に反映されないことがあります。残念ながら。😩

 

 

逆に、ガリガリに痩せて立ち上がれないくらい弱った状態になって、ようやく来院されたとしても、そんな状態では治療に反応してくれるか、正直難しいです。

 

改めてお話しするまでもないことと思われますが、そのような飼い主様にはあえてお話ししています。

「亡くなる直前に連れてこられても、この状態ではできる治療は限られます。本当に助けたいと思うのであれば、もっと早くに連れてきてほしかったです」。

 

あえて苦言を呈するのは、変わってほしいという期待を捨てていないからです。

期待も何もなければ、言う必要のない言葉ですから何も言わないでしょう。

人によっては、悪く取られかねないリスクを負ってしまうのですが。😣

 

 

動物の場合は症状を隠してしまうことが多々あり、来院される頃にはすでに進行しているケースが多いと感じます。

 

なので正直、飼い主様にはあまり様子を見ていただきたくはありません。早めのご来院をお勧めします。

 

その一方で、病気の正体を知るために『時間』が必要な時もあります。そして、治療を急ぐと失敗する場合もあります。😣

 

少ない投与量から始めて、様子を見ながらお薬を増量しなければいけない時、増量を急ぐと副作用が出てなおさら悪化したり、症状改善までさらに時間を要することにもなりかねません。

 

こんな時、『急がば回れ』を実感します。😓

 

 

さらに、通院治療中や入院中のタイミングで、進行性の病気のために避けられない症状の悪化が認められることがあります。

 

こんな時も飼い主さまによっては、『病院の治療のせいで悪化したと思われることもあるでしょう。病気のことを理解されていない方では尚更です。

 

また私たちからすれば、いろいろ検査をしても原因がわからないということは、特に初期の段階では、実際に起こり得ることという認識です。

 

けれど飼い主様からすると、『たくさん検査をしたのに結局わからずじまいだった』と、失望されるかもしれません。🥺

 

いろいろな検査をすれば、それだけ治療費もかかってしまいますからね。

 

さらに時間を置いて、あらためて検査をさせていただくことに抵抗を示される飼い主様もいらっしゃいます。

 

検査結果は、その時点での体調を反映していて常に変動するもので、点と点をつなぐように時間の経過とともに病気の本質がわかってくるはずなのですが。🥺

 

 

検査で原因がわからなかった時には、飼い主様と相談をして、まず対症治療を行ないます。

 

そして同時に、より可能性の高い病気の治療を試すことがあります。

 

これは、『診断的治療』というものです。

 

行った治療が効くか効かないか、反応を見ながら病気を絞り込んで、治療を進めていくのです。

 

治療の効果があればその病気と判断し治療を継続、効果がなかった時は別の病気の治療を試しながら診断を確定させます。

 

『診断的治療』では、治療の効果の確認がとても大切です。

 

けれど、このことを飼い主様が理解されないと、『治療の結果によって次の治療を進めていく』という『診断的治療』の目的が果たせません。

 

飼い主様からしたら、『病気が良くなればそれでよし』ということなのでしょうが、症状の改善は一時的である場合もありますよ。

 

よくならなかったり悪化する時に、転院が行われて、『後医は名医』現象が起きるのかもしれません。

 

私たちとしては、よくなるまで一緒に頑張って治療を続けていただきたいところですが、歯痒いですね。😮‍💨

 

 

 

以上、今回はほぼ愚痴でしたね😅 ここまで読んでいただきまして、本当にありがとうございました。😆

 

次回は、楽しいお話をしたいです。😊