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酸性とアルカリ性

 

こんにちは、院長の長谷川です。

 

ウクライナの状況から目が離せない、やるせない毎日です。

人間はもちろんですが、一緒に避難できないニャンコたちはどうしてるんだろうと気になります。🥺

 

そんなストレスのせいもあってか、私は毎朝、酸性尿(pH5)になります。🥲

( 正常では6と7の間の弱酸性で、試験紙ではpH5以下は測れません)

 

けれど、(人間の病院の)先生曰く、「そういう人は結構多い」のだそうです。

 

これが犬や猫ならば、私は尿沈渣を調べ、レントゲンで尿路結石の有無を確認し、血液検査で尿酸値や腎機能を調べるかもしれません。

(私も尿酸値は調べていただきました。魚卵好きなので😆)

 

酸性尿では、尿酸結石やシュウ酸結石、シスチン結石の形成、痛風の発症の危険性があるからです。

 

この違いは、人間は本人から詳しく症状を聞き取れるということに尽きます。

 

動物は話せませんし、ご家族も1日中くっついて見ているわけではありません。そもそも動物(特に猫)は症状を隠してしまいますからね。😩

 

なので、動物の場合はどうしても検査に頼らざるを得ないのです。😣

 

 

ところで、生物の身体は常に正常に機能するために、体液(血液)は弱アルカリ性(pH 7.4±0.02)を保つように調節されています。

 

その役割を担っているのは、主に腎臓です。

 

pH(水素イオン濃度指数)の測定範囲は 0~14であり、7が中性で、それより値が小さければ酸性、大きければアルカリ性です。

 

体液のpHが、7.4よりも低下した状態をアシデミア(酸血症)、上昇した状態をアルカレミア(アルカリ血症)と言います。

 

そして、酸性側に向かわせようとする状態をアシドーシス、アルカリ性側に向かわせようとする状態をアルカローシスと言います。

 

ともに全身の細胞にとっての異常事態であり、重度の場合は死に至ります。

 

アシドーシスとアルカローシスは、それぞれ呼吸性代謝性に分類されます。

 

 

生物の体の中の細胞内では、絶えず代謝が行われていて酸性物質が作りだされています。

 

その結果、体液は一旦酸性側に傾きますが、肺での呼吸と腎臓の働きによって、弱アルカリ性を保つ様に調節が行われています。

 

(肺) CO2 + H2O ⇄ H2CO3 ⇄ H+ + HCO3- (腎臓)

 

肺では、体に溜まった酸(揮発酸:H2CO3 )を CO2 (二酸化炭素)の形で、呼吸によって排出しています。 

 

腎臓では、食事や細胞の代謝で負荷される H+ の排出と、HCO3- の産生を行っています。

 

酸性とアルカリ性/長谷川動物病院

 

通常、腎臓で作られる尿弱酸性です。

 

尿pHは食べ物の影響を受けるため、魚、肉、乳製品などの動物性食品を多く摂取すると、酸性に傾きます。

 

また、高尿酸血症(痛風)や糖尿病、発熱性疾患、激しい運動後、低栄養や脱水(水分不足)の状態でも酸性となります。

 

酸性とアルカリ性 / 長谷川動物病院
   アルカリ性食品 / 女子栄養大学出版部より

 

反対に、野菜や果物、穀物などの植物性食品を多く摂取すると、アルカリ性に傾きます。

 

また、持続性の嘔吐、腎不全、尿路感染症でもアルカリ性になります。

 

尿pHに異常がある時には尿路結石ができやすくなるために、食事の改善が推奨されます。

 

ただし、尿pHの異常が食事以外の原因による場合は、食事の改善は一時的な改善にしかなりません。

 

それでも、尿pHを長い時間良好に保つことができれば、尿路結石の予防にはなります。

 

もちろん、尿pHの異常の原因を突き止めて改善できれば、それに越したことはありませんが

 

 

飼い主さまからよく「結石予防のために、どんなものを与えたら良いですか?」と、質問をされます。 答えは簡単です。

 

動物には、結石予防のための療法食があります。既にある結石(ストラバイト結石)を溶解するための療法食もあります。

 

けれど、しばらく前から全国的に、犬猫ともに結石溶解のための療法食が入手困難な状態になっています。

 

なので、酸性食品とアルカリ性食品について調べてみました。

 

酸性食品は肉類・魚類・卵・砂糖・穀類など、アルカリ性食品は野菜・果物・海藻・きのこ・大豆などです。

 

ご飯が酸性で味噌汁の具はアルカリ性。お蕎麦は酸性で胡麻や大根おろしやワカメや野菜の天ぷらはアルカリ性。

 

どちらかに偏りすぎることなく、バランスの良い食事が理想ですが。。実際には現代人は酸性に偏りがちですね。だから尿も酸性に?😅

 

 

ところで、酸っぱい梅干しやレモンがアルカリ性食品って、なんだか不思議に思いませんか?

 

酸っぱいから酸性?。。。ではなくて、酸っぱさの素であるクエン酸は体内に入るとアルカリ性に変わるのです。

 

アルカリ性食品とは、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ性を示す金属イオンが多く含まれている食品のことです。

 

なんだかややこしいので、ざっくりと食材を覚えてしまった方がよさそうですね。😆

 

けれど、中には動物に与えない方が良い食材もありますので、療法食が入手可能であれば、そちらを強くお勧めします。

 

 

以上、動物たちの健康管理のご参考にしていただけましたら幸いです。😊

 

 

 ※時々お問い合わせをいただくのですが、診察を伴わない個々のご質問にはお答え致しかねます。申し訳ありません。