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食物アレルギー?

アレルギーの種類
『アトピー・アレルギー克服応援ブック』より

 

ウイルスや細菌などの異物が体内に侵入してくると、抗体が作られ異物が排除されます。

 

その機能が免疫で、常に体を外敵から守ってくれています。

 

けれど時々、食物や花粉や金属など、体にとって有害ではない物質に対しても、免疫が過剰に反応してしまい、周りの組織ごと攻撃することがあります。

 

異物と判断した物質に対して、免疫が過剰に反応して体に悪影響を及ぼす現象がアレルギーであり、色々なアレルギー疾患が存在します。

 

 

自己免疫疾患は、抗原(アレルゲン)が自身の体内に存在する物質であるアレルギー性疾患です。

 

最近、耳にするようになった『サイトカインストーム(高サイトカイン血症)』はアレルギーによって引き起こされる重篤な病態のことです。

 

 

アレルギー物質によって、生物の体内で引き起こされるアレルギー反応の種類は、Ⅰ型~Ⅳ型まで4種類あります。

 

食物アレルギーは、即時型(Ⅰ型)アレルギー遅延型(Ⅳ型)アレルギーに分けられます。

 

危険な食物アレルギーはⅠ型の方で、アレルギー食材を食べた直後~2時間以内(ほぼ15分以内)に、皮膚の痒みや蕁麻疹、消化器症状(腹痛、下痢、嘔吐)や呼吸困難、アナフィラキシーショックなどの症状を引き起こします。

 

皮膚や腸粘膜、気管支粘膜、鼻粘膜、結膜などに存在する肥満細胞(マスト細胞)の表面に結合したIgE抗体に、抗原物質(アレルゲン)が結合すると、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が放出され、アレルギー反応が引き起こされるのです。

 

即時型アレルギーのアレルゲンは、血液検査(特異的IgE抗体検査)で調べることができます。

 

ほんの微量の摂取であっても、致命的なアレルギー反応を引き起こす可能性がありますので、注意が必要です。

 

 

あまり知られてはいませんが、実は他にも遅延型の食物アレルギーが存在します。

 

メカニズムはまだよくわかっていませんが、細胞性免疫(Tリンパ球)が関わって、アレルギー反応が引き起こされるようです。

 

その名の通り、食べてもすぐに症状が出ないために、また症状が分かりにくいために、人間でも『単なる体調不良』や『症状に応じた病名』として処理されている場合が少なくないようです。

 

また米や小麦など、毎日食べる食物がアレルゲンの場合には、症状がずっと継続することから、その人の体質や性格のせいにされてしまっている場合もあるでしょう。

 

人間でさえそうなのですから、もの言えぬ動物では尚更です。

 

症状は、人間では、下痢、便秘、吐き気、腹痛、腹部膨満、疲労感、無気力(ブレインフォグ)、不安障害、イライラ、乾燥肌、皮膚感染症、脱毛、口内炎、関節炎など。

 

動物では自己申告がなく症状がわかりにくいので、問題となるのは主にアトピー様の皮膚炎と消化器症状です。

 

治療は、アレルゲンとなっている食品の摂取を避けることです。

 

摂取を避けることでアレルギー反応を抑え、消化管の炎症や障害を防ぎ、消化管免疫の回復を目指します。

 

同時に消化管内の環境を整えるために、消化酵素剤、抗菌剤、プロバイオティクスorプレバイオティクス製剤の投与を行います。

 

また、市販の一般的なフードを食べている場合には、原材料が多くて原因の物質がわかりにくく、フードを変えても大きな変化はないでしょう。

 

なので、遅延型の食物アレルギーが疑われる時には、アレルギーを起こしにくい素材や起こしにくい状態に加工された療法食を与えていただく除去食試験最低1カ月間続けていただきます。

 

 

さらに、遅延型の食物アレルギーと症状がよく似た食物不耐症という病気があります。

 

こちらは、生まれつきかあるいは後天的に(膵外分泌不全)、その食物を分解する酵素が体の中にないか、足りないために引き起こされる消化不良(下痢)のことで、免疫介在性ではありません。

 

ほかにも、吐き気、胸焼け、腹部膨満、腹痛、頭痛、息切れ、無気力、乾燥肌、皮膚炎などの症状が引き起こされることがあります。

 

犬や猫では、牛乳を飲むと下痢をする乳糖不耐症が代表的です。この場合は、温めても変わりません。

 

そのほかには、グルテンや、卵白、果物のクエン酸果糖、青魚や発酵食品に含まれるヒスタミン、食品添加物に含まれる硫黄人工甘味料着色料などが対象となり得ます。

 

ちなみに人間ではほかにも、アルコールやカフェイン、カカオなどが対象になります。

 

症状が似ているために、遅延型の食物アレルギー食物不耐症を臨床的に区別することは難しいです。

 

 

原因となる食物も、牛乳や果物など、同様の食品が多いので尚更です。

 

 

こちらもやはり食べさせないことが一番です。

 

診断や治療が同じなので、この2つは食物有害反応と、一括りにされる場合もあります。

 

いずれにしても、体の不調が現れた時には、どんなものを食べさせたのか、細かくメモする習慣をつけることをお勧めします。

 

同じフードを食べていて体の不調が続く時には、思い切ってフードを変えた方が良いかもしれませんね。

 

フードについてのご相談は、パンフレットや試供品をご用意しています。

 

心配な症状のある方は、お気軽にご相談くださいませ。

 

 

皆様と動物たちの健康管理の参考にしていただけましたら幸いです。

 

 

 

 ※時々お問い合わせをいただくのですが、診察を伴わない個々のご質問にはお答え致しかねます。申し訳ありません。