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尿検査

 

尿は24時間ずっと血液から腎臓で作られ続け、尿管を通って膀胱に溜められ、尿道を通って排泄されます。

 

尿中には、体内で不要になった老廃物や代謝産物など、様々な物質が含まれています。

 

病態によって、正常時よりも増えたり、本来は存在しないものが現れたりしますので、検査で体内の情報を得ることができます。

 

糞便検査と同様に、尿検査だけならば病院が苦手な子たちの来院は必要ありませんので、簡易的な健康診断としてお勧めです♪

 

わんわんデー(毎月11日)と、にゃんにゃんデー(毎月22日)の検査は、糞便検査(直接法)尿試験紙検査です。

 

 

⚫︎採尿方法

紙コップ、紙皿、食品トレイ、ビニールシート、ペットシート(裏返し)、オタマなどを利用して、できるだけ排尿途中の尿(中間尿)を回収します。

 

猫ちゃんは病院にある採尿用スポンジ(ウロキャッチャー)の利用をお勧めします。

 

(注意点)

・地面に落ちた尿や、ペットシートに染み込んだ尿は検査には使用できません。

・採尿のために洗って使用する容器は、洗剤や水道水が混入しないよう、よく水洗後に乾燥させてからご使用ください。

・猫のシステムトイレを利用する場合は、異物混入を防ぐためにトイレ容器の洗浄と砂の交換が望ましいです。

・検査当日は激しい運動を避け、食事前の朝一番の尿を採取してください。

・出始めの尿には、尿道や外陰部内外からの細菌や付着物が含まれている可能性があります。ある程度出た後まだ勢いよく出ている尿が理想です。

・尿は長時間保存によって、アンモニアが発生しpHも変化しますので、排尿後30分以内の検査がお勧めです

・採尿が困難な時は動物にストレスがかかってしまいますので、無理な採尿は行わないでください。すぐに検査が必要なときは、病院で採尿後に検査を行います。

 

⚫︎尿試験紙検査項目

pH:尿が酸性かアルカリ性かを調べます。普通は弱酸性ですが、食事の影響を受けます。

動物性食品の多食、重症の下痢、発熱、脱水、激しい運動、飢餓状態では酸性尿になりやすく、植物食品の多食、嘔吐、細菌尿、膿尿はアルカリ性になりやすいです。

 

比重:尿中に溶けている物質の割合が比重です。

比重が低い場合は腎機能低下が疑われ、糖尿病や、嘔吐・下痢などで脱水している時には、高比重になりやすいです。

 

タンパク質:陽性ならば、糸球体腎炎やネフローゼ症候群、尿路結石症、炎症、発熱、脱水、溶血、高血圧、腫瘍(多発性骨髄腫)などの疑いがあります。

ただし激しい運動後、極寒期、精神的ストレス、多量の肉食などによって、一時的に出る場合があります。

生殖器や泌尿器からの出血や付着汚染物、白血球の影響を受ける場合があります。

 

白血球:陽性ならば、包皮や膣の分泌物による汚染以外では、腎臓や膀胱などに細菌感染症を起こしている可能性があり、尿路の腫瘍や結石、炎症などが原因として考えられます。

 

細菌:尿中の細菌の増殖を示すものですが、犬猫では評価されません

 

潜血:陽性ならば、腎臓や膀胱などから出血している可能性があり、腎臓病、尿路の腫瘍、結石、炎症などが原因として考えられます。

ただし生殖器からの出血の影響も受けますので注意が必要です。

ヘモグロビン尿(体の中で赤血球が壊されている時に出てくる尿)やミオグロビン尿(筋肉が壊れた時に出てくる尿)でも陽性になります。

 

ブドウ糖陽性ならば、糖尿病の疑いがあります。

ただし食後すぐの尿中にも出る可能性がありますので、必ず血液検査で確認を行います。

他には、近位尿細管異常、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能亢進症、ストレス、脳出血、てんかん発作、ステロイド剤投与、妊娠などが原因として考えられます

 

ケトン体:糖の代用のエネルギー源として、脂質が肝臓で代謝される時に作られるのがケトン体です。

コントロールできていない糖尿病、高熱、嘔吐や下痢、絶食時、激しい運動時などに尿中に出てきます。

 

ビリルビン陽性ならば肝臓に障害があったり、溶血性貧血、胆管閉塞の可能性があります。

ただし、犬では正常でも陽性の時があります。

ちなみに、ビリルビンは赤血球に含まれる黄色い色素で、皮膚にできた痣(あざ)の黄色の元です。

赤血球が古くなって脾臓で壊される時に出てくるビリルビン(間接ビリルビン:脂溶性)が肝臓で処理されて胆汁中に混入され(直接ビリルビン:水溶性)、胆道から小腸内に排泄されます。その一部が大腸で腸内細菌により還元されてウロビリノーゲンに代謝され、さらに代謝されて糞便の茶色の元となります。ウロビリノーゲンの一部は再吸収されて尿から排泄されます。

 

ウロビリノーゲン:ウロビリノーゲンはビリルビンが変化したもので、健康体でも少量は出てきます。逆に陰性の場合は、胆道閉塞が疑われます。

尿試験紙では陰性判定ができないために、犬猫では評価されません

 

 

尿検査は、他にも尿沈渣の検査(尿結石の種類や細胞成分を調べる)、細菌・真菌の培養同定検査などが行われます。

 

 

 

※時々お問い合わせをいただくのですが、診察を伴わない個々のご質問にはお答え致しかねます。申し訳ありません。

 

 

🌸併せてお読みください 

 

毎月22日はにゃんにゃんデー