· 

脂質異常症とLipoTEST(リポテスト)

 

脂質代謝異常症(高脂血症)とは、血液中の中性脂肪コレステロールのどちらか、または両方が高い状態です。

 

血液検査でわかります。

 

コレステロールはさらに、脂肪組織などの末梢組織に運ばれ、過剰な時は血管に蓄積してしまうLDL(悪玉)コレステロールと、末梢組織や血管から回収され肝臓に運ばれるHDL(善玉)コレステロールに分けられます。

 

 

脂質異常症の原因としては

1)遺伝性:シュナウザー、シェルティなど

2)生活習慣:肥満、食事内容、運動不足

3)2次性(他の病気の影響):内分泌疾患(糖尿病、甲状腺機能低下症、クッシング症候群)、腎疾患、肝疾患

 

が考えられます。

 

 

以前、動物は人間のような脳梗塞や心筋梗塞などの血管の塞栓症は稀とされていました。

 

けれどMRIなどの診断技術の進歩によって、案外多いことが報告されています。

特に内分泌疾患から2次性に脂質異常症となっている動物たちです。

 

ですから治療は、

・食事の変更(低脂肪・高繊維食 and/or原因疾患用療法食)

・間食(おやつ)制限や中止

・適切な運動

です。人間と一緒ですね。

 

さらに脂質の数値を下げるためのお薬を飲ませていただくこともあります。

 

他の病気から2次的に起きている場合には、原因の治療が必要になります。

 

けれどこれらの病気の治療を行っても脂質異常が改善しないことがあります。

逆に脂質異常を治療すると、これらの病気が改善することもあります。

 

脂質異常症の適切な治療(薬物治療)を行うための指標となるのがLipoTESTです。

 

 

中性脂肪やコレステロールなどの脂質は水に溶けないため、リポタンパク質という親水性の球状カプセルに入れられ、血液中を運ばれます

 

(アポタンパクがドライバーで、リポタンパク質は運搬車のようなものです)

 

リポタンパク質は大きく4種類に分類されます。(CM,VLDL,LDL,HDL

 

内部に含まれる中性脂肪とコレステロールの含有バランスによって分けられ、それぞれ密度や大きさが異なり、その役割も違います。

 

CM,VLDLは中性脂肪の、LDL,HDLはコレステロールの輸送に関わっています。

 

この検査結果によって、例えば猫では単に肥満なだけなのか、実は糖尿病予備軍なのか、のような区別がつけられます。

 

また脂質のうち、どの成分が多くなっているのかを知ることによって、適した薬剤による効果的な治療を行うことができます。

 

好発犬種であること、犬猫共に、脂質代謝異常症(高脂血症)である他に、

 

1.血糖値が高い

2.肝酵素値が高い

3.肥満である

4.減量用フードしか与えていないのに痩せない

5.レントゲン検査で肝臓や脾臓が腫大している

6.超音波検査で肝臓の胆嚢に担泥が溜まっている

7.急に目(前眼房)が白く濁った

8.シュウ酸カルシウム結石(腎臓~膀胱・尿道)が見つかった

9.よく吐く、よく下痢をする

10.原因不明の発作、失神を繰り返す

 

などの症状がみられる時には、検査を受けられることをお勧めします。

 

 

 ※時々お問い合わせをいただくのですが、診察を伴わない個々のご質問にはお答え致しかねます。申し訳ありません。