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飼い主様の思い込み

Kさんご夫妻はとても優しい方達です。(^^☆)

新潟市の動物愛護センターから、さくらちゃんを引き取って一緒に暮らしていらっしゃいます。

 

さくらちゃんは推定10歳くらいのオス猫です。

去勢されていたので、どなたかに飼われていたはずの猫ちゃんです。

わがままも言わずおとなしい良い子で、Kさんご夫妻も「とってもいい子なんです」とおっしゃっています。

 

元々の慢性鼻炎と引き取られてから慢性腎臓病が見つかり治療を続けています。

少しずつ体重が減少してきているのと元気がないということで、このところKさんの奥様は少し弱気になっていました。

以前にお勧めした皮下点滴もされていないとのこと。

 

よくよくお話を伺うと、さくらちゃんが怖がるし、私も怖くてできないとおっしゃいます。

さらにお薬以外の治療はせずに、このまま自然に看取りたいともおっしゃいました。

 

私は進行した慢性腎臓病の猫ちゃんたちには、自宅での皮下点滴をお勧めしています。

皮下点滴は腎機能が低下した子たちに不足している水分や電解質をゆっくり補う治療です。

通院のストレスや点滴の頻度を調節できるので猫ちゃんにもご家族にもメリットは大きいと思うのですが、やはり出来ないとおっしゃる方はいらっしゃいます。

 

そういう方たちには、私は無理強いは致しません。

通院していただけば良いことですが、その分お家で行うのとは違ってどうしても回数が減ります。

当然治療効果も違ってきます。

 

Kさんご夫妻は真面目で努力家であることはわかっていたので、私は引き下がりませんでした。

目の前でさくらちゃんに皮下点滴をしているところを見ていただきました。

私たちが行うとき、さくらちゃんはとてもリラックスをしています。

奥様はとても驚いていました。

 

飼い主の皆様にとって皮下点滴は医療行為ですので、少なからず抵抗があるようですね。

Kさんご夫妻も例外ではなく、とても難しいことだと、ご自分でさらにハードルを高めていたようです。(^^)

 

そういうお気持ちでそれでも真面目に、さらに緊張して点滴を行おうとするので

さくらちゃんは飼い主さんのいつもと違う、ただならぬ雰囲気を感じて怖がっていたのでしょうね。(^^)

動物たちは普段から飼い主の皆様をよく見ています。ですからその変化に敏感に反応するのです。

 

Kさんご夫妻には、点滴への怖い思い込みを捨てていただくこと、そしてまずご夫妻が肩の力を抜いてゆったりした気持ちでさくらちゃんに接していただくこと、点滴中はさくらちゃんをぎゅっと抑え込むのではなく話しかけたり撫でたりして、できるだけリラックスさせてあげてくださいとお願いしました。

 

その日の点滴がとても効いたらしく、さくらちゃんは元気を取り戻しました。

その姿を見て、Kさんの奥様は気持ちが前向きになられたみたいです。

今はご主人様と一緒に、さくらちゃんの皮下点滴に励んでいらっしゃいます。(^^)

 

飼い主様は皆、動物たちが元気になってくれると素直に嬉しいですし、治療を頑張ろうと思ってくださいます。

そんなお姿を見せていただく私たちもとても嬉しいです。(^^☆)

 

そういう風に思っていただけるように、私たちも頑張っています。( •̀_•́)