2018年は北海道地震(北海道胆振東部地震)や7月豪雨災害、近畿地方に大きな被害を出した台風など、たくさんの自然災害に見舞われた年となりました。
被災されました皆様には心よりお見舞い申し上げます。
今年、幸い私たちの住む新潟に被害はありませんでしたが、災害はいつどこで起きても不思議ではありません。
実際、過去には水害や地震に何度も見舞われていますので、新潟県民の皆さんの防災意識は高いはず!
さらに動物のいるご家庭では、動物たちのための備えも必要になってきます。
災害対策として、日頃から飼い主の皆様にぜひ、行っておいていただきたいことリストです。
1)日頃の健康管理と最低限のしつけ
2)ケージに慣らす
3)マイクロチップ、または名前や連絡先を記した首輪やペンダントの装着
4)動物用も含めた防災用品の準備
5)避難所と避難経路の確認
6)家にある家具の固定など身の回りの安全対策
7)動物と一緒に地域の避難訓練に参加してみる
1)ノミやダニの予防とともに、特にワンちゃんは、定期的に予防接種(狂犬病と混合ワクチン)を受けておいてください。
動物が苦手な方達は、動物(特に犬)から感染する伝染病を恐れています。
避難先での無用なトラブルを回避する意味でも、予防接種は重要です。
また人混みの中でも『待て、よし、座れ』の号令に従えるように、特にワンちゃんは『鳴き止まない』状況にならないように、しつける努力を心がけましょう。
2)ケージに慣れていない子は、入れられたときに落ち着きなく動き回ったり、大きな声で鳴き続ける場合が多いので、その子もストレスですし周りの人や動物に対して不安を煽り、悪影響を及ぼしてしまいます。
不安やストレスでその子の血圧と心拍数が上昇し、持病の心臓病があれば悪化したり、そして暑い夏では、その泣き続けるという全身運動のせいで体温が上昇し、たとえクーラーの効いた部屋でも熱中症になることさえ有り得ます。
ご家族と一緒に、『同行避難』ができるように、普段から少しずつ時間を伸ばしながらケージに慣らすトレーニングをしていただきたいです。
(これはペットホテルをご利用される時も同様です)
そして避難指示が出たなら、迷わず早めに動物を連れて、避難をしてください。
『人命優先だし、ペット連れだと周りの迷惑になるから避難所に行けない』そんな風に、避難をためらわれる方が多いと思います。
けれど、そうやって避難する時期を逸してしまったために、水害で動物もろとも亡くなられた方がいらっしゃいました。
動物が一緒なのですから、むしろ『災害弱者』であるということを自覚され、早めに判断をし、早めに行動をしていただきたいです。
3)災害時の混乱で迷子になる動物は多いです。(特に猫)
マイクロチップはいろいろな情報を登録できるので災害時にとても役立ちます。
最悪その子が亡くなっていたとしても、消息を知ることができます。
マイクロチップの入っていない子は、普段から名前と連絡先がわかるものを身につけていると安心です。
4)5)は常識ですね。
6)も常識的なことなのですが、実は1番大切なことです。
飼い主である私たち人間が死んでしまったら、可愛い動物たちが路頭に迷うことになるからです。
命を大切に、命を守るための行動を今から始めましょう!
7)は実際に経験してみると、ご自分と動物が災害時にどのように行動するかの段取りができて、本番で行動しやすくなると思います。
同時にいろいろな問題点が見えてきて、そのことを行政側に伝えることで、改善が期待できるのではないでしょうか。
行政側も、指摘されるまで気づけないこともあるでしょうし、実際に動物を連れて避難しても、避難所に動物の居場所がない場合もあります。
予め行政側に対して、お住まいの地域の避難所に動物用のスペースが確保されるか、動物を受け入れてもらえるかどうかの確認をしておくことも必要でしょう。
ちなみに災害時には必ず、市町村と獣医師会と動物愛護協会とが協力し合う形で『動物救済本部』が立ち上げられます。
そこで私たち獣医師は、動物たちの保護や一時預かり、健康管理支援、相談窓口支援、新しい飼い主探しなどを行います。
ペットフードやシーツなど、必要なものは『動物救済本部』で配布をします。
けれど、フードが変わると下痢をしたり、お水が変わると飲まなかったり。
災害時はただでさえストレスがかかる状況ですから、できるだけ普段通りのフードや容器を用意しておきたいですね。
以上、動物たちの健康管理の参考にしていただけましたら幸いです。
※補足
同行避難:飼い主がペットを連れて、指定緊急避難所などに避難すること
同伴避難:避難所でペットをそばに置いて、一緒に避難生活をすること
同行避難した避難所で、ペットと同伴避難できるかどうかは、自治体や各避難所ごとの判断となるようです。